オルガンの音が聞こえ、扉がゆっくりと開く。家族や友人の顔が見え、少し緊張してきた。それでも遠くにエドが見えると、私の心は彼でいっぱいになる。


 ここまで長かったな。でも私は前世の記憶を思い出してからも、ずっとエドと一緒で幸せな日々だった。


 隣には「お父様」がいる。「お母様」だって涙ぐみながら私を見ている。今日からはローズの「お父様」と「お母様」も家族だ。私の中にいるローズが喜んでいるのがわかった。


 一歩一歩エドに近づくにつれ、今までの思い出が押し寄せてくる。


 一緒に魔術を勉強したの楽しかったな。婚約破棄の時は悲しかったけど、また会えたのは嬉しかった。フィリップ王子として再開してからも、あなたは私を一番に想ってくれていた。つないだ手の温かさは、今でも忘れられない。


 私はとても大馬鹿で未熟な子供だったけど、ちょっとは成長できたよね?


 エドが泣きそうな顔で私を見ている。私達が結ばれるまでは記憶を思い出したくないと言ったけど、どこかで思い出してくれるかな? でもあなたが望まないなら、一生思い出さなくてもいいよ。ただそばに居てくれるだけでいい。