転移の指輪が見つかってしまった。
耳元で低く囁く声は私を絶望に落とすのに十分で、カタカタと腕が震え頭が真っ白になる。目線は自然と足元に向き、頭がうなだれた。
「あいつはお前を追ってくるだろう。そしたらお前の魔力で、あいつを殺してやるよ」
そう言って王子は高笑いしている。しかしその言葉を聞いた私の心は、不思議と落ち着き始めた。ほんの少し前は怖くて不安で、絶望していたのに。ジーク王子はその言葉で、私の希望を踏みにじったつもりだろう。しかし反対に王子の言った言葉は、私の心に火を着けていた。
私は決めたんだ。絶対に王子にエドを殺させない!
「まあでもあいつは第3王子だ。ヤツにかまってる暇はないから、まずは王を狙うか」
「殿下、失敗したらあちらも何か対策を取るでしょう。一度で仕留めるためにも、別の者で試し打ちをしてみてはいかがですか?」
「ああ、そうだった。それであいつらを、連れてきたのだったな」