「おい、おまえ。説明しろ」
突然後ろから話しかけられて、「さっきと違う」だの「説明しろ」だのわけがわからない。それにこの子誰だろう? 後ろにたくさんの従者がいるけれど……
「おい、聞いているのか! なんとか言え!」
少年はイライラしながら、こちらに一歩近づいてきた。すごく威圧感があって怖いけれど、とにかく何か話さなくては!
「あの、なんの事でしょうか?」
「とぼけるな! 隠し事をして良い相手だと思っているのか!」
あきらかに私に敵意むき出しだけれど、私だってわけがわからない。私も怖かったがローズの方が怖かったのだろう。恐怖で手がぶるぶると震え始めた。その様子を見た目の前の少年は、訝しげに私を見ている。
「……気づいていないのか?」
「え?」
「おまえ、さっき会った時は魔力を持っていなかったのに、今はものすごい量の魔力を持ってるぞ」
「ま、魔力…ですか?」
涙目で震える私を見てよけいにイライラしたのか、少年はチッと舌打ちをして強引に私の腕を掴む。あまりの力強さに痛みが走った。
「ちょっと来い!」