「ど、どなたでしょう?」
足元にいる男をよく見てみると、髪は見事な金色でお父様より年上に見えるから40歳くらいだろうか。でも若い頃はさぞ美男子だったことだろう。なんだか雰囲気は陛下に似てるわなんて思っていると、その男は私を見て涙を流し始めた
「僕だ! エドワードだよ!」
「エ、エドワード様?」
そんなはずはない。私は死んだはずだし、私の知っているエドワード様は15歳だ。
「でもエドワード様はそんな年齢では…」
死んだ後に知らない場所で起きて、元婚約者だと名乗る別人に出会うなんて。何がなんだかわからず、オロオロしてしまう。
するとエドワード様(仮)は立ち上がり、綺麗な青い目で優しく微笑んできた。その目は、エドワード様が癇癪を起こした私にするのと同じで、少し心が落ち着いてくる。
「君が死んでしまった事は理解している?」
「え? ええ、わかっております」
「そうか」
自分から聞いたのに、エドワード様はなんだか苦しそうな複雑な顔をしている。
「サラ、落ち着いて聞いてほしい」
「はい」
「君が死んでから30年経っていて、僕は今45歳だ」
「30年? 45歳! そんなに経っているのですか?」
私1人だったらすぐには信じられなかったけど、目の前にいるエドワード様(45歳)には確かに面影が残っている。それに嘘をついているようにも見えない。とりあえずこのままエドワード様だと信じてみようかしら。
それにしてもここはどこなの? 30年も経っていればエドワード様は王位を継いでいるでしょうから、ここは魔術の研究部屋か何か?
ぐるりと部屋の中を見回してみたが、エドワード様の身分とこの場所は合っていない様に感じる。調度品は王族が使うには品質がやや劣っているし、なにより部屋全体が質素で窓も小さい。そして一番の違和感は窓に格子がはまっていることだ。
まるで閉じ込められてるような……