「竜王様、こちらのクッションにお座りください」
『にやけすぎじゃないか? おまえ』


 それでも花柄のクッションにちょこんと座る竜王様を見ていると、勝手に口の端が上がっていく。竜王様はそんな私を見て、あきれたようにため息を吐いたけど、それすらもかわいい。


『まあいい。リコが喜んでくれるのは嬉しいからな。だけど他のやつには絶対に言うなよ』
「はい! もちろんです!」
『じゃあ、お互いの話でもするか』
「はい! えっ? なにか用事があったのでは?」


 てっきりここに来たのは、事務的な話をするためだと思っていた。私がきょとんとした顔をしていると、竜王様は少しふてくされたように鼻を鳴らした。