『ママ〜……』


 待望のその声に、私はすぐに返事をする。


「卵くん!」


(嬉しい! また卵くんと話せた!)


「ん? 竜王の卵が話してるのか?」
「はい! でもすごく声が小さいです。どうしたんだろう」


 静かにして聞いていないと、言葉を聞き取れないかもしれない。私は竜王様に卵くんの状況を伝え、耳をそばだてた。


『ふわぁ……ママ、ぼく、いま、じゅんびちゅう。かみさまが、まえ、いってたの。うまれるまえは、りゅうきがいっぱいいるから、ねむるんだよって。きっと、もうじゅんびしなきゃだから、おしゃべり、おしまいするね……ふわぁ……』
「えっ! もう話せないの?」


 勝手に出産ギリギリまで話せるかと思ってた。でもずっと寝ていたからか、私に何が起こったのか知らないみたい。怖い思いをさせなくて、本当に良かった。