「だが、リディアが興奮するのも仕方がない。あいつも水晶に選ばれた、運命の花嫁の従者だからだ」
「リディアさんも選ばれた人なんですか?」
「ああ、どうせ暇しているのだからいいだろうと、リコにあてがったのだが、ちょうど良かったな。リコが本当の主人だとわかって、喜んでいたぞ」


(なるほど、以前ギークに意地悪された時、騎士の人がリディア様って呼んでたもんね。リディアさんもまた特別な人だったのか)


「しかし、あの夜リコと卵が話しているのを聞いていなかったら、危なかったな。シリルに確認のため水晶を取りに行ってもらい、そこで初めて侯爵が偽物を用意していることが判明したんだ」

「え? 竜王様たちは侯爵たちの不正を、知っていたんですか?」

「ああ、シリルは水晶の守り人の後継者だったからな。それこそ今の守り人よりも、ずっと本物を見てきている。すぐに偽物だとわかり、あの親子が本当に実行するのか確かめようとしたんだ」


 でもそうなると、なぜ私をあの場に呼んだのだろう? その質問をぶつけると、竜王様は苦笑気味に教えてくれた。