(な、なんて言ったの? 今、竜王様、私のこと竜王の花嫁だって言わなかった?)


 予想もしていなかった発言に、何も反応ができない。口を開け、ただ呆然として「あ」だの「うう」だの、変なうめき声しか出てこない。そんな私を見て、竜王様はますます意地悪そうに笑う。


「俺の息子のママになる覚悟が、できたんじゃなかったのか? ()()()に向かって、そう宣言してたじゃないか?」


(た、卵くん? それは私の呼び方なのに!)


「な、なぜ、それを? いつから知っているんですか!」
「竜人競技会のあった夜だが?」
「ええええ! そんな前から?」


 竜人競技会のあった夜なら、たしかに私が卵くんに「あなたのママになる覚悟を決めたわ!」と宣言した日だ。ということは、まさか……!


「もしかして、あの夜、私と卵くんの話を聞いてたんですか!」
「ああ、卵との作戦会議は楽しそうだったな」
「じゃあ、あの時窓がいきなり開いたのは……?」
「俺が二人の会話に驚いて、竜気で開けてしまったんだ」


 竜王様は顔を真っ赤にしてうつむく私を、笑いながらさらに強く抱きしめた。