『おはよう! ママ!』
「おはよう〜! 今日は早いんだね!」
『うん! きのう、いっぱいねむった!」
「ふふ。たしかに昨日はよく寝たね。もう出発の時間だから、しばらく返事はできないの。ごめんね」
『は〜い』


 起きたばっかりの卵くんが元気いっぱいに返事をすると、ちょうどリディアさんが迎えにきた。そのまま外に出ると、竜車の前でなにやら竜王様とルシアンさんが、昨日の幼竜を抱っこしながら、何か話している。


「おはようございます! クルルくんもおはよう!」
「おや、迷い人様。おはようございます」
『はよ』
「クルルくんも外に出て、一緒にお見送りしてくれてるんですか?」


 するとルシアンさんは、クルルくんの顎を撫でながら、少し残念そうな顔をしている。


「それがちょうど今、竜王様にお願いしようと思っていたのですが、クルルの貰い手を探してもらえませんか? この子は中型ですから、竜舎がないここではとても飼えません」


(そうか、今は小さいけど、大人の竜になったら中型くらいに育っちゃうのか。それならここでは、飼えないよね)


 すると竜王様が、私の肩をポンと叩き、ニッコリ笑った。