(こ、これ、からかってるんだよね? もう! このタイプのは苦手なんだってー!)


 きっと私の顔は真っ赤だ。耳まで熱くなって、頭も真っ白で何も考えられない。でもこのままじゃエスカレートしていくばかりなので、私は勇気を出して彼の名を叫んだ。


「リュ、リュディカ! からかうのは、止めてください!」
「…………」


 あれ? せっかく頑張って言ったのに、反応なし? 私は恥ずかしくてギュッと閉じていた目を開けた。するとそこに見えたのは。


 真っ赤な顔をした竜王様だ。口に手を当て、うつむいている。耳まで真っ赤になって、私と一緒じゃない!


「竜王様、顔が真っ赤ですけど?」
「……驚いただけだ」
「絶対ウソです! もう早くどいてください! からかってばかりなんだから!」
「からかってるわけじゃ――」


 このままじゃ不毛なやり取りになりそうだと思った瞬間、コンコンコンと怒ったようなノック音が聞こえてきた。