それならしょうがない。私の出した条件とも違うし、他の竜と話してみようか、そう思った時だった。ヒューゴくんは顔を上げ、思いつめたような声で叫んだ。


『違います! ……ただ、僕はあなたを襲った、ギークという騎士の相棒になるはずだったんです。勘違いしないでくださいね。僕はギークのことは苦手で、相棒にならないですんだのは嬉しいんです。でも……』
「でも?」
『僕はあなたにとって、いわくつきってヤツになるでしょう? それに無意識にギークの乗り方の癖がついているかもしれません。それに僕は首に変な痣もあるし。だから……』


(……ああ、この子は、自分を否定して、良い子で頑張ってきたんだろうな。まるで日本にいた時の私みたい)


 最初にこの竜が気になったのは、キールくんと同じ能力があるのに、相棒がいないことだっだ。試合にだって出てたのに、なぜ? その理由を聞きたくて、声をかけたのだけど。


「決めた! あなたにする!」
『ええ? 僕の話、聞いてました?』
「聞いてたよ! だからあなたに決めたの。竜王様、私、ヒューゴくんを専属にします!」