相棒のゲイリーさんは、びしょ濡れになりながら、せっせとキールくんの体を洗ってあげている。それなのにキールくんは、ゲイリーさんに水をかけて遊んでいる。いつもこんな感じなんだろうな。


「ああ、竜の世話をしている時に悪いな。リコの専属竜を選ぼうと思ってな。今現在、相棒がいない竜を集めてくれないか? なるべく気性が穏やかな竜がいいのだが」
「迷い人様専用の竜ですね。わかりました! すぐ何頭かご用意いたします!」


 しかしそれを聞いたキールくんは、大暴れだ。


『ぼくが、この子の専属竜になる〜! ゲイリーの相棒辞めるから、ぼくにして〜』


 とうてい通訳できそうにないその言葉にも、ゲイリーさんは「どうせ迷い人様の竜になりたいってごねてるんでしょ」と笑っている。


(いいなあ……こういう関係。私もこんなふうに言葉がなくても、わかり合える竜を選びたいな)


 しばらくすると、私たちの目の前に、五頭の竜が並ばされた。色は左から赤二頭、青二頭、そして最後に白い竜が一頭いた。