「それで、おまえの職業はなんだ?」


 ものすごく言葉に詰まる。それでも嘘をついたってしょうがない。私はよろよろと立ち上がり、正直にアルバイトの内容について話し始めた。


「……ウ、ウエイトレスです」
「ウエイトレス?」
「えっと、お客様の食事の配膳をしたり、お金を受け取ったり……」
「ふむ、飯屋の売り子みたいなものか。そんな身分の者が迷い人か……」


 青ざめた私がそう答えると、竜王はまたニヤリと笑った。どうやらこの竜王、この状況がものすごく楽しいようだ。私の答えにガッカリするわけでもなく、からかうような顔で私を見ている。そして周囲に聞こえるように、再び話し始めた。


「とにかくこの者は王宮で預かる。迷い人なら、この国に何らかの恩恵があるだろう。しかしこの娘がただ王宮に侵入した不届き者ならば……」


 そこまで言うと竜王は腰に差してあった剣を抜き、私の顔に切っ先を向けた。