「まあ! このくらいの竜気で怖がるとは。ひ弱ですわ」
「あら? そういえば迷い人様は平気なんですね」


 アビゲイル様のお友達が悲鳴を上げた人たちに軽蔑した眼差しを送っていると、その隣りにいた女性が私を見て驚いた顔をしていた。不思議そうに見ているので、竜気に耐性があることを伝えると、目をキラキラさせて私の手を握り始めた。


「まあ! 顔色も良いですし、やっぱり竜王様が認めただけありますわ!」
「先ほどの竜気にも耐えられるなんて、わたくしたちと同じくらい強いのですね!」


 なんだか最初に挨拶した時より親しみをもってくれたみたいで、心からの笑顔を向けてくれている。私がきょとんとしていると、リディアさんが耳元で「竜人はなにより強い者が好きなんです」と、こっそり教えてくれた。