(リディアさんも隣にいるし、気にしたってしょうがない! 今日は竜をいっぱい見て楽しもう!)
そう決めると、心は完全にお祭りモードだ。ワクワクした気持ちで整列している騎士を眺めていると、観客席の真ん中に竜王様が姿を現した。
「竜王様だ!」
「王のお出ましだ!」
竜王様の登場に、わあっと大きな歓声があがる。今日の竜王様は出会った時と同じ、砂漠の王様のような服を着ていた。遠目からだとよけいに陽の光りが当たって、キラキラと輝いて見える。いつもと違い、髪を後ろになでつけているせいか、端正な顔立ちがいっそう際立って、見た瞬間ドキッと胸が高鳴った。
「ただ今から、竜人競技会を始める!」
「うおおおお!」
『うお〜!』
竜王様が大会の開始を宣言すると同時に、騎士の雄たけびが会場中に響き渡った。ビリビリと体が震えるほどの衝撃で、まわりにいた何人かは悲鳴を上げている。ついでにお腹にいる卵くんも、ワンテンポ遅れて叫んでいた。かわいすぎる。