「竜騎士の入場です!」
『ママ! はじまったよ〜』


 競技が始まるようで、お腹の卵くんも大喜びだ。私も竜を引き連れた騎士が会場に入ってくると、思わず前のめりになってしまった。赤、青、黄色、緑と、色とりどりの竜たち。大きさもさまざまだけど、一番大きな竜でも竜王様ほど大きくはなかった。


(そういえば卵くんは外の景色が見えてるのかな? 声は聞こえているみたいだけど)


 すると私の考えを読み取ったかのように、卵くんは疑問に答えてくれた。


『気配で感じるだけだけど、竜たちがいっぱいで楽しい〜』


 なるほど。たぶん竜気というやつだろう。声やそういった気配で、わかるんだろうな。卵くんはキャッキャッと楽しそうに声をあげ、興奮している。その喜んでいる声に、なんだか私の気持ちもつられてきて、ずっと感じている背後からの視線がどうでも良くなってきた。