案の定アビゲイル様は驚いた顔をして、目を丸くしている。日本でもこんな話し方は失礼なのだから、この国の貴族令嬢ならもっとだろう。


「も、申し訳ございません! 早く誤解を解きたくて、アビゲイル様の話を遮ってしまいました」


 もう、本当に恥ずかしい! きっとアビゲイル様も呆れてるわ。そう思って顔を上げたのに、意外にも彼女は感心したかのような表情で私を見ていた。


「シリル様から迷い人様は謙虚な方だとお聞きしておりましたが、本当にそうなのですね。実はわたくし、噂がウソだということは聞いておりました。でも迷い人様ご本人にきちんと伺ったほうが、他の方たちも納得すると思いまして、会いに来たのです」
「もうご存じだったのですか……」
「はい、驚かせてしまいましたね」