「初めまして、迷い人様。わたくし、アビゲイル・リプソンと申します。今日は体調の悪いところ、お会いするお時間をいただき、ありがとうございます」


 艷やかなブロンドの髪に、すみれ色の瞳。全身が光り輝いているように見えるほど、彼女の姿は美しく、それでいて気品にあふれていた。着ているドレスはシンプルで、しかも大きな宝石を身に着けているわけではないのに、目の前の彼女はとても華やかだ。


(この人は、竜王様と同じタイプなんだわ……)


 ひと目見ただけで、周りの人を魅了することができる人。あの気の強い貴族女性たちが、憧れの目で見るのもわかる。私だって彼女の美しさに見とれてしまっている。


「迷い人様……?」
「あっ! す、すみません。挨拶もせずに、私ったら!」


 しかも私だけ椅子に座ったままだ。ものすごく偉そうに出迎えてしまったのに気づき、あわてて立ち上がる。するとアビゲイル様がそれを止めるように、手で制した。