「おまえ、どこから来た? 名はなんと言う?」


 ぞくりとするその声に、肩が勝手に跳ねる。


(怖い……! 何でも正直に答えるから! どうか神様! いるなら私を助けてください!)


 それなのに緊張からか唇が乾いてくっついてしまい、声が出てこない。竜王の質問を無視していると思われたら大変だ。私はなんとか唇を舌で湿らせると、慌てて口を開いた。


「た、橘莉子(たちばなりこ)です。日本の東京から来ました! こ、ここは一体、どこなんでしょうか?」
「おい! 聞かれたことだけを話せ! 竜王様に余計な口を聞くな! 生意気な女め!」
「うっ!」


 髪の毛をぐっと後ろに引っ張られ、頭皮に強烈な痛みが走る。ブチブチと髪の毛が引きちぎられる音が聞こえ、私の瞳からは我慢していた涙が一粒こぼれ、うめき声が漏れた。