数分後、そこに着いて辺りを見回したもののやはり芽衣の姿は無い。


にしても人が多いな……。


事故現場を見ると二年前のことを思い出して吐きそうにもなるけれど、今はそれどころじゃない。


どこだ。その高台はどこだ……?


高台って言うからには、山の方か?


それならあっちの方か……?でも向こうは暗いし、一体どこなんだ?


ダメだ、人が多すぎるし辺りが暗いからよく見えない。


花火が上がった一瞬の光を頼りに高台を探すのは困難だった。


そうしている間に、どこからか俺を呼ぶ声がした。



「──あれ? 大雅くん?」


「……奈子?」



今日はよく人に会う。早く行きたいのに、もどかしさが募る。



「どうしたのー? 今日は用事があったんじゃないの?」



綺麗な花柄の浴衣に身を包んだ奈子は、女友達と一緒に花火を見にきたのか、コンビニから飲み物を買って出てきたところらしい。


思わず足を止めてしまった俺の元へ駆け寄ってきた奈子は、心配そうに俺を見つめてきた。


浴衣に合わせた髪飾りがきらきらと光を反射させていて、一段と派手なその姿に圧倒されてしまう。