しばらく待っていると、ヨウがお盆を片手で持ち、部屋に入ってきた。

お盆の上にはお菓子とジュースの入ったコップが乗っている。

『はい、お菓子とジュース。』

『ありがとー!』

『チョコとクッキーな。』

『両方すき。』

学習机ではなく、ベッドの前にあるローテーブルの方にお菓子とジュースを置いてくれた。

ローテーブルを挟み、向かい合わせの状態で、ふかふかの座布団に座った。

ヨウは、彼自身が好きな洋楽プレイリストを流し始めた。

その音楽をBGMにして、一緒に宿題を解きながら、だらだらとお喋りした。

多分、宿題の方は全然進まないんだろうけど。

『あたし、今日さー。めっちゃ爆睡しちゃって。ノートまっしろだった。』

『日本史?』

『そー。』

『あれは誰でも寝ちゃうよな。』

『ほんとそれー。』

緩やかな時間が流れていく。

ついでに宿題も少しずつ進んでいく。

ヨウと恋人として付き合ってはいるけど、交際をしていない期間も2年くらいはある。

そのせいか、普通の友達みたいな感覚で話すことも多い。

ずっと彼氏と彼女だと、疲れてしまう。

あたし達が長続きしている理由は、このちょうどいい距離感があるからだと思う。

『何とかしてほしいよな。』

『だよねー。あたしトイレ。』

『行ってらっしゃい。』

そう言ってあたしは立ち上がった。

我慢せず、はっきり言える間柄なのが楽だ。

トイレは確か、1階にしかないんだよね。

なぜか2階には無い。

そういう作りのおうちもあるか。

…大丈夫。