「……あの……」


 不思議。


 少しでも早く解放してもらいたい。

 そう思っているのに。


「どうして、このようなことまでして
 来てもらいたいんですか
『白龍』の総長さんに」


 訊かずにはいられない。


「……勝負するためだ」


 十数秒の沈黙。

 そのあと。
 静かに口を開いた、北邑(きたむら)さん。


「勝負……?」


 一体何の勝負をするのだろう。


「『白龍』はさ、
 悔しいけど最強なんだ。
 俺たちはいつも負けてしまう」


 海翔さん。
 悔しさを含んだ苦笑い。


 いつも悔しい思いをしている。
 海翔さんと北邑さんは。

 だから。
 今回も『白龍』の総長さんと勝負をするために―――。