ボロアパート時代(俺は今でもそうだが)
青川は、俺のボツ作品のひとつを手にとりながらこう言った。
「夏目、これなんか全然いいんじゃないのか?これより駄作を平気で出してる作家なんて、ごまんといるぜ」
「いや、それは失敗作だ。だから応募はしない!」
「まったく頑固だな。せっかく書いても読んでもらわなければ仕方がないだろうに………それじゃ、いつまで経っても売れないぜ」
「お前こそ、ただ数だけ応募すりゃいいってもんじゃないぞ!」
時にそんな対立をしても、俺と青川は互いの実力を認めていた。
そんなある日、ふとしたきっかけで青川の書いた小説が陽の目を浴びる時がやって来た。
青川の作品のひとつが、出版社から書籍化する事になったのだ。
書店に並ぶ小説の多くには『帯』というものが付くが、幸運な事に、青川のその小説には当時人気急上昇中のベストセラー作家が書いた帯が付いたのだ。
その宣伝効果抜群の帯のおかげもあって、青川の小説は飛ぶように売れ瞬く間に彼はベストセラー作家の仲間入りをするまでにのしあがった。
そんな訳で、今となっては青川にすっかり差をつけられてしまった俺ではあるが、こんな俺にも遂に千載一遇のチャンスが舞い込んで来たのだ!
去年の年末、遂に俺の理想とする長編小説が完成したのだ!
500ページの本格長編ミステリー。
主人公の探偵は資産家の御曹司。
その明晰な頭脳に加え潤沢な資金力と人脈を駆使して、迷宮入りしそうな難事件を鮮やかに解決していく。
難解な密室殺人………
複雑な人間関係………
その中で繰り広げられる愛憎劇………
奇抜なトリック………
30年前の失踪事件との意外な繋がり………
異世界から転生してきた謎の美女との甘いロマンス、そして溺愛!
因縁のライバル暴走族総長との激しいカーチェイス!
そして、ラスト50ページのあっと驚く大どんでん返し!
今まで俺が書きたかったエッセンスをすべて詰め込んだ、夏目漱一郎の集大成とも言える傑作!
そのタイトルは
『お坊っちゃん探偵』
.
青川は、俺のボツ作品のひとつを手にとりながらこう言った。
「夏目、これなんか全然いいんじゃないのか?これより駄作を平気で出してる作家なんて、ごまんといるぜ」
「いや、それは失敗作だ。だから応募はしない!」
「まったく頑固だな。せっかく書いても読んでもらわなければ仕方がないだろうに………それじゃ、いつまで経っても売れないぜ」
「お前こそ、ただ数だけ応募すりゃいいってもんじゃないぞ!」
時にそんな対立をしても、俺と青川は互いの実力を認めていた。
そんなある日、ふとしたきっかけで青川の書いた小説が陽の目を浴びる時がやって来た。
青川の作品のひとつが、出版社から書籍化する事になったのだ。
書店に並ぶ小説の多くには『帯』というものが付くが、幸運な事に、青川のその小説には当時人気急上昇中のベストセラー作家が書いた帯が付いたのだ。
その宣伝効果抜群の帯のおかげもあって、青川の小説は飛ぶように売れ瞬く間に彼はベストセラー作家の仲間入りをするまでにのしあがった。
そんな訳で、今となっては青川にすっかり差をつけられてしまった俺ではあるが、こんな俺にも遂に千載一遇のチャンスが舞い込んで来たのだ!
去年の年末、遂に俺の理想とする長編小説が完成したのだ!
500ページの本格長編ミステリー。
主人公の探偵は資産家の御曹司。
その明晰な頭脳に加え潤沢な資金力と人脈を駆使して、迷宮入りしそうな難事件を鮮やかに解決していく。
難解な密室殺人………
複雑な人間関係………
その中で繰り広げられる愛憎劇………
奇抜なトリック………
30年前の失踪事件との意外な繋がり………
異世界から転生してきた謎の美女との甘いロマンス、そして溺愛!
因縁のライバル暴走族総長との激しいカーチェイス!
そして、ラスト50ページのあっと驚く大どんでん返し!
今まで俺が書きたかったエッセンスをすべて詰め込んだ、夏目漱一郎の集大成とも言える傑作!
そのタイトルは
『お坊っちゃん探偵』
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