真実の言う通り、もう隕石を破壊できるタイムリミットは五分を切っていた……補助金云々で揉めている場合ではない。



「沢田博士、もう時間がありません!ここには補助電源とか発電機のようなものはないんですか!」



「うむ……発電機か…….そうだな、あれならある」



沢田博士は、何かを思い出したようにそう呟くと倉庫のある奥の方へと歩いて行った。おそらく、これが最後のチャレンジになるであろう。


やがて、沢田博士は両手に何かを抱えて三人の前に戻って来た。



「これが発電機だ!」



「自転車じゃね〜かっ!」



三人が同時に突っ込んだ!



「だって、これしか無い!誰か頑張って漕いでくれたまえ」



もう、タイムリミットまでは三分しかない!もはや選択肢はなかった!


年齢的にも、ここは真実が漕ぐしか無い。第一、この重大局面を幹事長らに任せるなんて恐ろしい事が出来る訳が無かった。


「私が自転車を漕ぎます!博士、電力がレベルまで達したら発射ボタンの方を押してもらえますか?」


「任せたまえ!真実君、一緒に人類を滅亡の危機から救おうじゃないかっ!」



「はいっ!頑張りましょう、博士!」



「いいぞ〜二人とも〜!」


「ブラボ〜〜ッ!」



緊張の面持ちで硬い握手を交わす真実と沢田博士、幹事長と山本はその二人を温かい拍手で送り出した。


そして、真実は上着を脱ぐとおもむろに自転車のサドルへ跨がり、全力でペダルを漕ぎ始めた!



ハア… ハア… ハア…


タイムリミットまではあと三分………
真実のそのひと漕ぎひと漕ぎに人類の未来が懸かっていた!



「いいぞ真実君!あと100ワットだ!」



「ハア……ハア……」


「よしあと50ワットだ!いけるぞ、真実君!」




「しかし幹事長、この部屋は寒いね」



「暖房切れちゃいましたからね………じゃあ、電気ストーブでも点けますか………」




パチッ



「あと……1500ワット…………」


「お前らああああああ〜っ!」



そんな年には、なって欲しく無いけどね………



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