優しいシスターに頭を下げ、礼拝堂を後にしながら二人は顔をほころばせる。

「御嬢様、良かったですね……きっと彼女は良き話し相手になって下さいますよ」
「ええ……そうなのかも」 

 リュミエールは驚いていた。
 フレデリクといい、ロディアといい……ついぞ無かったくらいにリュミエールに優しく接してくれる。まるで今まで爪弾きにされていたのが嘘のように。

(ここには私を認めてくれる人がいるのかも知れない……でも)

 信じてみたい気持ちはあるが、どうしても完全には疑いの心を拭い切れない。
 諦めや恐怖といった暗い感情を背中から引き剥がすのには、まだしばらく時間がかかりそうだった。