「す、すみません変なことを言って……。私は高さも幅も小さいですので。公爵様はもしかしたらもっと背の高い……女性らしい体つきの方がお好みなのかと」
「誰がそんなことを言った……くそっ。別に女の体型に好みなど無い。だからお前がどんな姿をしておろうがかまわん……。だが、少し瘦せていたから……その、な」

 口ごもるような言い方だったが、彼の優しい気遣いが感じられ、思わず頬が緩む。

「そういうことだったのですね、ありがとうございます……。せっかくご飯をたくさん作ってくださる料理人の方々に悪いですから、頑張って残さず食べられるようになります!」
「……少し量を減らすように言っておく……。済まないが、少し一人にしてくれ」

 だが、レクシオールは丸めた背中をちぢこめた後、低くつぶやいてリュミエールを遠ざける。

「は、はい……すみませんうるさくしてしまって。また後で伺いますね、それでは」

 リュミエールは彼の声にあわてて背中から手を離すと、少し不安になりながら、静かに医務室のドアを開けて出て行った……。