確かに、お金も返さないといけないし。

何より、楽しい気がした。
この人の旅に少し参加することが。

「周る程の場所もありませんが」
「やったー、ありがと」

ふわりと笑ったヤマダさんは立ち上がった。

「じゃあ、よろしく」

それからこちらへ手を差し出す。


花みたいに笑う人だ。

それに惹きつけられる。反射的に出した手が、それに捕まっていた。

ぐい、と簡単に引き上げ、立ち上がらされる。
そんなに変わらない身長なのに、力の差に驚く。

見抜かれたみたいに、また笑われた。