「まあゆっくりお食べなさい」
「すみません……」

自分の粗雑さに呆れる。

「俺、携帯持ってないんだよね。ごめん」
「告白してないのに振られた……?」
「ちなみに明日バイト?」
「いえ、明日は無いです。明後日はあります」
「明日も俺と周ってよ、この街」

え、とその顔を見返した。

ごくり。鯛焼きの最後の一口を飲み干す。

ヤマダさんは少年のような表情で提案してくるので、無意識に身を引く。

悪い人では無いと思う。初対面だけどこの数時間一緒にいてそれは感じる。私の鯛焼きも買ってくれる人だ。