鯛焼きにかぶりつきながらヤマダさんが首を傾げた。

「鯛焼きのお金」
「そんな、すいませんみたいな額じゃないでしょ」
「それはおばちゃんに謝ってください」
「すみませんでした」

次は鯛焼き屋のおばちゃんが首を傾げている。

「変な奴だと思われた」
「お金返すので連絡先教えてください」
「ナンパ? 上手いねえ」
「ちがいます」

言いながら、そう取られても仕方ない発言だったと思い返す。

ヤマダさんは三口程で鯛焼きを食べ終えた。

鯛焼きを口に咥えて立ち上がろうとすれば、手で制される。