どうか、この人が。

手を併せながら、祈る。
願いより、祈りの方が近い気がする。

隣で願うこの人の旅が、早く終わりますように。

顔を上げれば、もう隣には居なかった。

「寧子ちゃん、なんか甘いもの食べようよ」

当人はけろりとした顔で鳥居の方を指した。

「近くにあるのは鯛焼き屋だけですよ」





財布を忘れたのをすっかり忘れていた私は、鯛焼きをヤマダさんに買ってもらった。

「すみません……」
「え、なにが?」