「じゃあ… 任史(ただふみ)…さん」

「…自分で言っておきながら、なんか照れるな…」

 彼は私から目を逸らして、フォークを持つ親指でこめかみのあたりをカリカリと掻いた。

そういうふうに照れる仕草がなんだかかわいい。

昨夜は私とあんなことをしてた人が、名前を呼ばれるだけでそんなに照れるの?

私まで照れてしまう。

本当に昨夜の彼と同じ人?

「任史さん、かわいい」

「黙って飯食っとけ」



 そんなぶっきらぼうに言ったって無駄ですよ。


あなたはひどく不器用で照れ屋で優しくて、愛が深い人だってこと、私は知っていますから。