身体は火照って汗ばみ、肩で息をしながら私たちはベッドの上で抱き合っていた。身体も意識も溶けてしまいそうになるくらい、今もふわふわしてひどく現実感がない。

「大丈夫?俺、途中から余裕なくて…」

「とってもよかったですよ」

「そう?」

「私、演技とかできる女じゃないので」

「そうか。それじゃあ随分よかったんだろうな」

 私は彼の胸を平手で叩いた。

「いて。ははは。かわいいやつだな」

 これだ。

普段はそんなこと言わないくせに、時として甘い言葉を囁く。私はこれに弱いのだ。「かわいい」なんて滅多に言わないくせに。

「いつもは?」

「うん?かわいいよ」

 微笑んでいるだろう彼の顔を直視できず、彼の胸に顔をうずめた。

「また風邪引いたら困るから、先にシャワー浴びてきな。俺は一服してから美晴のあとに入るよ」

「ではお言葉に甘えて」

 私は洗面所の電気をつけるなり驚いた。

「何これ!?」

 身体中キスマークだらけなのだ。首筋、胸、お腹、内股にまで!

 私は急いで汗をシャワーで洗い流し、部屋に戻ると彼はパンツ一枚で開け放たれた窓に寄りかかりタバコを吸っていた。

「真崎さん!全身キスマークだらけなんですけど!?」

「あ?ああ。ご所望かと思っていっぱいつけといたよ」

「なんで…あ」

 左肩に自分でつけたキスマークのことを思い出して赤面した。

「シャワー浴びてくるわ。先に寝ててもいいよ」