夕凪を見ているのが好きだった。


彼女はいつだってだらりと前に垂らした髪の間から庭を見ていた。


板の廊下に座り、長すぎる髪に手を絡ませてほくそ笑んでいるようだった。


僕の部屋の、鉄格子をつけられた窓から見る夕凪は、いつだって真っ赤な唇をし、薔薇の花の蜜を吸ったようだった。