病院に向かった。
立ち寄ったナースステーションに先生がいらしたので、改めて先日のお礼を言って写真を見ていただいた。
看護婦さん達も喜んで見てくれた。
病室に行くと母は起きていた。
「お母さん、写真出来たのよ。」
「ああ、二人で・・・写真・・・嬉しい・・・見せて・・・」
声に力が無く呼吸が苦しそうだった。
母が寝ていても見られるように私が写真を持って見せた。
その間に正志さんはフォトフレームの準備をしてくれた。
「なんて素敵なの・・・それに比べてお母さんひどいわ。・・・少しお化粧すればよかった。」
「そんなことないよ。お母さんも素敵に撮れているよ。」
「お義母様、こちらも見てください。」
正志さんがフォトフレームを動かした。
「あらあら・・・こんなとこも撮ってくれたのね・・・なんて・・・素敵なの・・・毎日見ます。」
母は泣き出し、その涙につられて私も涙がこぼれた。
フォトフレームを見ながら雑談をしていたものの、直ぐに母は少し疲れたと言った。
「最近直ぐに疲れてしまうのよ、ご飯食べるのもやっとなの・・・半分くらいしか食べられないし・・・」
撮影をしてからまだ1週間しか経っていないけど、母は見るからに弱っていた。
「楓・・・お正月に正志さんのご両親に・・・ご挨拶していらっしゃいね。・・・写真もお見せして。・・・それとお爺様とお婆様にもね。」
「はい、そうするね。」
話すのも辛そうだったので、長居をしないで病院を出た。
「楓・・・お義母さん弱っていたね・・・」
「そう・・・また弱った。先週撮影して良かった・・・」
「本当だね。それとお正月の件、うちの親ともそう話していたんだ。」
「本当なら結婚前にご挨拶に行かなくてはいけなかったのに、申し訳ないです。」
「うちの親は大丈夫、僕たちの結婚も喜んでいたし、忙しいことも話してある。」
「良かった。さっき追加した写真の1枚は正志さんのご両親用です。」
「ありがとう。他のはお爺様とお婆様用だね。」
「はい、母との写真も見て欲しかったので・・・」
「お爺様とお婆様には僕たちの結婚のこと話してあるの? 」
「はい、先日入籍前に電話をしました。驚いていましたけど喜んでくれて、特にお爺様は相手が正志さんと聞いて本当に驚いていました。でもお正月に伺うことはまだ伝えていません。」
「わかった。日程決めようね。」