「大丈夫ですか? 」
「はまっちゃって・・・」
「靴脱げます? ほら、肩につかまって・・・」
「あっ、はい。すみません・・・」
彼はしゃがみこんで私に肩を貸してくれた。そして丁寧に靴を溝から外してくれた。
「あー、折角の靴が・・・ヒールにキズが付いちゃいましたね・・・」
「ホントですね。でも外してくださってありがとうございます。折れていないのでこのまま履けます。」
彼は私に靴を履かせてくれた。
こんな時なのになんだか映画のシーンみたいだと照れた。
「・・・あの・・・この先を右に曲がって直ぐのところに靴を直してくれる店があります。よかったら案内しますよ。」
彼は上目遣いで私の顔を見て、私からの答えを待っていた。
「ありがとうございます。お教えいただければ大丈夫です。一人で行けます。」
「今日休みで暇だから案内しますよ。・・・あっ、それとも俺ウザイ? 」
「そんなことありません。御親切に・・・では・・・お願いします。」
・・・優しい目をしている・・・
私は思わず道案内をお願いしてしまった。