紫音はヒステリックに叫び、もう一人は呆れたように溜息を吐いている。
(こっちが溜息つきたいよ…)
どうしてこう、次から次へと問題が起こるのか。
「あの、あなた方は何の権限があって足立さんをどかせようとしているのですか?」
立ち上がって、百合を睨みつける二人に相対する。
「琴様の為です。こんな子が近くに居たら、琴様や九条家の評価まで下がりかねません」
「そうですよ。私の父は、九条家傘下の会社の役員を務めているんです。私たちといた方が色々と安心でしょう」
「こんな貧乏会社の娘なんて、九条家の名誉を利用しようとしているに決まってるんですから」
「はぁ…?」
よくそこまで人を貶せるものだと、呆れてものも言えない。
私が納得したとでも勘違いしたのか、二人は満足そうに微笑む。