思っているほど時間は経っていないはずなのに、とても長かった気がする入学式が終わって、教室に戻るために歩き出す。

その際、最初に教室でクラスメイトの圧に怯えていた時よりも委縮しているように見える百合に声を掛けようとする。

だが、他の生徒が百合との間に割って入ってきた。


「あの、良かったら私と仲良くしてくださいませんか?」

「あなたずるいわ。私とも是非、仲良くしてくださいませ」

「うちの父は不動産を営んでおりまして、よければお見知りおき頂ければ嬉しいです」

我先にと割り込んで割り込まれての競争が周りで勃発しているのだが、どう対処したものか。

正直、よく知りもしないのに仲良くしてと言われても困る。

それよりも百合のことの方が気になる。