麟太郎が喋っている間、緊迫した空気が流れていたが、終わるとすぐに大きな拍手が送られる。

ステージから降りるとき、クドに支えられながら麟太郎が小声で話しかけてくる。

またも何かを企んでいるような顔をして。

「言い忘れておったが、この後は新入生歓迎のパーティーがあるからな。

後でフロントの者に何着かドレスを届けさせるから、好きなのを選んで着るといい」

「え…、パーティーって…」

「新入生は絶対参加じゃ」

これ、事前に知らせたら私が逃げると思ったから直前まで言わなかったやつだな。

九条家の跡取りと漸減されてしまった以上は逃げられないし、そもそも絶対参加なら逃げるも何もないではないか。

(せめて心の準備をさせて欲しい…)

琴の思いも虚しく、麟太郎の策に溺れるしかないのだったーー…