この世の全ての権力や名誉が手に入ると言っていい九条家を手に入れるのが、学園長の望みだったのか。
ならば彼が憎む対象は私と麟太郎という事になる。
自分が狙っている跡継ぎの座に就いた私、そしてそれを決定した現当主の麟太郎。
彼からすれば私たちは差し詰め邪魔者といったところか。
「…この子の観察眼には儂も驚かされることがあるのでな、従者選びも完璧にこなすじゃろう。少なくとも半端者は選ばんはずじゃ」
さりげなく従者科の生徒たち全員にまで圧力を掛けている。
現に、先ほどまで九条家の跡取りの従者になって恩恵にあやかれるかもしれないと、
目をキラキラさせていた従者科の生徒たちが、気圧された顔になっている。
ここで諦めるのなら、自分が半端者だと認めていることになる。
それは、残念ながら琴の従者に成り得ない者たちである。
麟太郎は、ここで主従科の生徒たちを簡単な篩(ふるい)に掛けたのだ。