麟太郎が続いて語ることは予想出来ている。
恐らく、百合をさらに震えさせてしまうことだろう。
「そこでじゃ、儂の後継者が今年の新入生として学園に入ったので、皆(みな)に紹介しようと思う」
(あぁ、やっぱり…)と、痛くなってきた頭を右手で抑える。
こんな大っぴらに後継者である事を報告するなんて聞いてない。
それに、両親の事件の真相が明るみに出来たら、私は後継者で無くなる可能性が高いのに、ここまでする必要があるのだろうか。
何だか、逃げ道を塞がれていっているような気がする。
「主人科として新入生代表も務めた安齋 琴が儂の後を継ぐ。琴や、こっちへ来なさい」
「はぁ…」
隣で、ズレたメガネを直す余裕もなく固まってしまった百合を置いて、溜息をつきながら、またもステージに上がる。
麟太郎を若干、恨めし気に睨みながら隣に立つ。