そんな三人のうちのサングラスを掛けた一人が手近にあった家の木の枝を折って、犬獣人の前で見せつけるように左右に振って投げる。
「ほれ、犬なら取って来いよ」
「人化したままでな」
「出来たら解放してやってもいいぜ?」
絡まれている二人の顔は見えないが、どちらも煽りに動じていない様子。
そんな二人にむかついたのか、枝を折って投げたサングラスの男が、
老人の持っていた杖を奪って、私のいる方向へ投げてきた。
私は視線を離さず、目の前に飛んできた杖を上体を横に捻って避ける。
「あ゛?…おい、そこのガキ。なにジロジロ見てんだよ?」