生徒会長の挨拶が終わり、いよいよ入学式も終わりが見えてきた。
「えー、続きましては、入試試験にてトップの成績を取った生徒による挨拶です。
主従科から一年A組、安齋 琴さん。従者科から一年A組、黒隠 日南(こくいん ひなみ)さんはステージへ」
私の名前が呼ばれたことで、隣に座る百合が厚いメガネの奥で驚愕した表情を見せる。
「い、一番だったんですか…?」
「うん…、どうやらそうらしい」
挨拶など何を話せばいいものやら、悩みに悩んだ末、結局はネットで拾えるような普通の典型文になった。
(やっぱり普通が一番だよね)
この規格外な学園に入学している時点で、もう十分普通からは程遠い人生になっていると思うが、そこは目を瞑って欲しい。
両親の事件を除けば、私は本当にごくごく平凡な家庭の高校生なのだから。