想像してみると、何とも奇妙な構図である。
肉食女子たちが互いをけん制し合いながら涎を垂らして、狼を喰わんとしようと虎視眈々と狙いを定めながら追い詰めているなんて。
「窮屈だろうな…」
「え、…?」
「あ、ごめん。何でもない」
思っていたことがそのまま口に出てしまった。
慌てて平静を装う。
(気を付けないと…)
発言の一つでも揚げ足を取られて、貶められる世界に入ったのだから今一度、気を引き締め直さなければいけない。
琴が呟いた一言の真意を探るブルーグレイの瞳が一瞬だけ向けられたことに、
深呼吸をして姿勢を正し直した琴は気づかないままだった。