キリテの少し高めの声は音吐朗々としていて、耳にスッと入ってくる。

それは淀みがなく、人前で話すことに慣れている、実に堂々とした声だった。

「共に学び、共に成長していく…」

「きゃっ、キリテ様が今こちらを見て下さったわ」

「違うわ、わたくしのことを見たのよ」

話の途中だと言うのに、自分を見てくれたと騒ぐ前の席の二人組。

先ほどまでお偉い方の話を聞いていた時とは違って、声を弾ませて実に生き生きとしている。


「生徒会長って人気者なんだね」

「と、当然ですよ。従者科から生徒会長が出るのは珍しいことで、とても有能であのルックス、

な、尚且つ獣人(人獣)御三家の一つであるルー家の跡取り。

なのに、未だに誰とも主従契約を交わしていないので、と、特に女性は狙っている方々が多いんです」

「へぇ…」

肉食獣が、肉食女子たちに狙われているという事か。