艶のある漆黒の髪に、すべてを見通すような紫を帯びた黒い瞳。

眉間に皺を寄せて不機嫌そうな顔。

早乙先生の言う通りなら、彼は忍者のはず。

つまり彼の周り一帯は忍者のクラスである、従者科・一年A組が集まっているという事になる。

(外見は本当に、普通の人と変わらないんだな…)

制服に身を包んでいる為、誰が忍者で、忍者でないかなんて見分けがつかない。

先生のように分かりやすい強者ならば、すぐに判別できるのだが。


つい興味を引かれて忍者たちを見つめていると、目の端に金の毛並みが映った。

「百合」

「っあ、金之助くん…」

険しい顔で百合に近づいてきたのは、狐人獣の男子生徒だった。

短く切り揃えられた金のブロンドヘアーに、瞳孔が縦に長い吊り目がちなオレンジの瞳。

頭には髪と同じ色の三角耳が二つ付いていて、

腰下には狐特有の黒い毛が混じって、先だけが白いフサフサの尻尾があった。