先生たちの言い合い(というか女性の先生が一方的に早乙先生を叱っているだけだが)、が始まって、

すぐには終わりそうになかったので、暇を持て余してなんとなしに周りを観察してみる。

クラスごとに固まっている生徒たちは、一様に先生たちの掛け合いに戸惑っている様子だった。

けれど一人だけ、注目されている先生の方ではなく、こちらを凝視している男子生徒がいた。

目が合うとすぐに逸らされてしまったが、その姿にどこか既視感を覚える。

「ふ~ん?」

「…何かあった?」

隣に立つ百合が不思議そうに首を傾げる。

「いや、ちょっと“見知った姿”があったから」

間違いない。私が迷子になっている間、後ろを付いてきていたのはあの生徒だ。