「東さんの家の会社ってそんなにすごいの?」 「す、すごいなんてものじゃないですよ。新興企業だけど、最近急激に勢力を伸ばしてるんです」 「へぇ…」 つまり紫音は大企業の娘というわけか。 「あ、あの…。私…、足立 百合(あだち ゆり)って言います」 恐る恐るといった感じで名前を告げる、隣の席の彼女こと百合。 「私は安齋 琴です。よろしく」 「よ、よろしくお願いします。あ、あの、安齋さんって…」 「うん?」