一方で“主人”となるのは、そのほとんどが由緒正しき家柄のご子息やご息女。

将来、重要な役職に付く可能性の高い彼ら彼女らは、

安全が脅かされることも多いため、守ってくれる存在である“従者”が必要なのだ。


卒業後も付き合っていく存在なので、より優秀な従者を選ぶ為に素早く、けれど慎重に動かなければいけない。

なので入学前にあらかじめ目星をつけている場合が多い。

みんな、どこからか手に入れた成績表やら名簿の情報収集には余念がないのだ。


しかし私、安齋 琴(あんざい こと)は最初の反応で分かる通り、この宙星学園に関する情報はほとんど皆無である。

学園に関する最低限の資料を見ただけでそれ以上のことは何も知らない。

何故、私のような無知な人間が入学することになったのか。


説明するためには、数か月前に遡らなければいけないーー…