女子生徒の方はそれに怯えて、どこにも行けずに席が決まらなかったので、これでは埒が明かないと、
自分の隣を指さして、ここに座ればいいと促す。
近くに誰も座っておらず、机一つ分が独占状態になっていたのでちょうどいいだろう。
「っあ、ありがとうございます…」
小声でお礼を言われたので、「どういたしまして」と笑って返す。
「…さて、全員が揃ったところで自己紹介をしよう。
今日から一年間、君たちの担任を務めることになった早乙 大輔(さおとめ だいすけ)だ。よろしく」
「はいはーいっ、質問いいですかぁ?」
早乙先生の言葉に被せるように、前の方に座っているブラウン髪の女子生徒がやけに高い声を出しながら手を挙げた。