「…?あぁ“アレ”は全く知らない人です」

完全にスルーしていたので忘れていた。

寮を出た頃からだろうか、黒い影が近くにいたような気がするのだ。

ちなみに早乙先生とは違う気配だった。

「呑気か」

「害はなさそうだったんで。かと言って、助けてくれる様子もなかったですけど」

「あれは忍者科の生徒だな。俺が現れた途端に消えちまったから確かめようもないが」

「忍者…、初めて遭遇しました」

(そうか、あれが忍者か)